【速報】 BigQuery の料金体系が変更されます
ウィスキー、シガー、パイプをこよなく愛する大栗です。
先程開催されたGoogle Data Cloud & AI Summitにて、BigQuery の料金体系の変更が発表されましたので、レポートします。
BigQuery editions
BigQuery で Standard、Enterprise、Enterprise Plus という3種類の料金階層が発表されました。これらのエディションは個々のワークロードの必要性に基づいて適切な価格性能比を組み合わせられます。
BigQuery editions は、コンピュート キャパシティのオートスケーリングと、compressed storage(Preview 時には physical storage と呼ばれていました) の価格設定によりデータが圧縮された後のサイズに料金を支払うことの2つのイノベーションが含まれます。
オートスケーリングと compressed storage
オートスケーリング
必要に応じて人手を介さずに自動でスロットのキャパシティを設定します。また、既存の BigQuery Reservations とは異なりスロットのコミットメントを購入する必要はありません。最大予約サイズとオプションとして予約ごとにベースラインの数を指定できます。スロットの指定は100単位で行います。
オートスケーリングによりきめ細かなキャパシティ調整が行われて、実際に使用したスロット分だけの料金となり、不必要なスロット購入が不要となります。
compressed storage
今まで BigQuery のストレージ料金の計算は、論理的なデータサイズを元に計算されていました。しかし BigQuery では実際にストレージにdataを保存する場合には圧縮をしています。compressed storage では圧縮したデータサイズを元に料金を算出する方式に変更されました。
ストレージの圧縮率はExabeamでは 12:1 であるようです。また日本の事例として、株式会社ZOZOの場合も 12:1 程度と10 倍以上の圧縮率であることが多いようです。
ストレージの料金は compressed storage になると単価が上がりますが、高い圧縮率になるため通常はストレージ料金が大幅に削減できると思われます。
東京 | US | |
---|---|---|
(旧) Active logical storage | 0.023 USD/GB | 0.02 USD/GB |
(旧) Long-term logical storage | 0.016 USD/GB | 0.01 USD/GB |
(新) Active compressed storage - Preview | 0.052 USD/GB | 0.04 USD/GB |
(新) Long-term compressed storage - Preview | 0.026 USD/GB | 0.02 USD/GB |
各エディションの違い
ドキュメントの情報を基本として機能の違いをご紹介します。
Standard | Enterprise | Enterprise Plus | Edition 以外 | |
---|---|---|---|---|
価格モデル | スロット時間(最低1分) | スロット時間(最低1分) | スロット時間(最低1分) | フラットレート スロット(フレックス、毎月、年次)/無料ティアがあるクエリごとの支払い |
計算モデル | オートスケーリング | オートスケーリング+ベースライン | オートスケーリング+ベースライン | オンデマンドまたは固定スロット予約 |
確約利用 | 無し | 1年間のコミットメントで20%割引または3年のコミットメントで40%割引 | 1年間のコミットメントで20%割引または3年のコミットメントで40%割引 | 毎月および年間のコミットメント割引 |
SLA | > = 99.9% | > = 99.99% | > = 99.99% | > = 99.99% |
Assured Workloads によるコンプライアンス | Foundational | Foundational | Foundational, Enhanced | すべてのコンプライアンス |
VPCセキュリティ管理 | VPC-SCサポート | VPC-SCサポート | VPC-SCサポート | |
データガバナンス | - 列セキュリティ - 行セキュリティ - データマスキング |
- 列セキュリティ - 行セキュリティ - データマスキング |
- 列セキュリティ - 行セキュリティ - データマスキング |
|
ストレージ暗号化 | Google管理キー | Google管理キー | - 顧客管理キー(CMEK) - Google管理キー |
- 顧客管理キー(CMEK) - Google管理キー |
BI アクセラレーション | BI Engine によるクエリアクセラレーション | BI Engine によるクエリアクセラレーション | BI Engine によるクエリアクセラレーション | |
マテリアライズド・ビュー | 既存のマテリアライズド・ビューを直接クエリします | - マテリアライズド・ビューの作成 - マテリアライズド・ビューの自動更新 - マテリアライズド・ビューの手動の更新 - マテリアライズド・ビューの直接クエリ - スマートチューニング |
- マテリアライズド・ビューの作成 - マテリアライズド・ビューの自動更新 - マテリアライズド・ビューの手動の更新 - マテリアライズド・ビューの直接クエリ - スマートチューニング |
- マテリアライズド・ビューの作成 - マテリアライズド・ビューの自動更新 - マテリアライズド・ビューの手動の更新 - マテリアライズド・ビューの直接クエリ - スマートチューニング |
検索 | 検索インデックスへのアクセス無しで検索機能へのアクセス | 検索インデックスを使用したクエリアクセラレーション | 検索インデックスを使用したクエリアクセラレーション | 検索インデックスを使用したクエリアクセラレーション |
非構造化データ | クエリオブジェクトテーブル | ML推論を備えたオブジェクトテーブル | ML推論を備えたオブジェクトテーブル | クエリオブジェクトテーブル |
機械学習 | BigQuery ML | BigQuery ML | BigQuery ML | |
ワークロード管理 | 最大同時実行数ターゲットを設定できません | 高度なワークロード管理(アイドル容量共有、同時実行数ターゲット) | 高度なワークロード管理(アイドル容量共有、同時実行数ターゲット) | 定額ユーザーはアイドル容量共有にアクセスし、ターゲットの並行性 オンデマンドユーザーは、高度なワークロード管理にアクセスできません |
サポートされている割り当てタイプ | QUERY, PIPELINE | QUERY, PIPELINE, ML_EXTERNAL, BACKGROUND | QUERY, PIPELINE, ML_EXTERNAL, BACKGROUND | QUERY, PIPELINE, ML_EXTERNAL, BACKGROUND |
各エディションの料金は以下のようになっています。
Standard | Enterprise | Enterprise Plus | 備考 | |
---|---|---|---|---|
従量課金 | $0.04 / slot 時間 | $0.06 / slot 時間 | $0.10 / slot 時間 | 最低 1 分で 1 秒単位の請求 |
1年コミットメント | 無し | $0.0480 / slot 時間 | $0.08 / slot 時間 | |
3年コミットメント | 無し | $0.0360 / slot 時間 | $0.06 / slot 時間 |
Edition への移行
2023年7月5日以降、年定額契約、月定額契約、フレックススロット コミットメントの購入ができなくなります。既存の定額料金を利用されているユーザーはニーズに応じて適切なエディションへ移行できます。
オンデマンドの場合
BigQuery のサーバーレス機能、クエリパフォーマンス、機能の改善などにより2023年7月5日以降すべてのリージョンのオンデマンド分析モデルの価格を25%値上げします。BigQuery 全体の料金は compressed storage の料金削減効果を加味すると、保存データ量が多くクエリが少ないユーザーは料金が減る可能性が高く、逆に保存データ量が少なくクエリが多いユーザーは料金が増える可能性があります。クエリを多数実行するユースケースの場合は、エディションによるコスト適正化を検討すると良いかもしれません。
さいごに
オートスケーリングにより実際使用するスロットに対して料金が設定されたり、compressed storage により論理サイズではなく実際に使用するストレージのサイズで料金が設定されたり、実際に使用しているリソースをベースとした料金へと体系が変更になります。
BigQuery のコストを見直す機会ですので、BigQuery のコスト最適化ガイド(PDFファイルです)などをご覧頂いて、BigQuery の TCO を最適化すると良いのではないでしょうか。